ソムリエの眼と農家の手で育てる、一杯の“理由”。
八ヶ岳の畑で小牧康伸が見るワインの未来。

───── ワイン農家 小牧康伸

小牧康伸は30年近くソムリエとしてホテルの現場に立った後、Uターンしてブドウ作りへ進んだ。

ホテルでの勤務を経て2003年に地元へ戻り、2005年から栽培を始めた。ブドウ作りに加えてアグリツーリズムにも取り組み、食事提供などで地域と訪問者をつなぐ活動を続けてきた。2025年には加工施設が完成し、畑から醸造までを一貫して行える体制が整いつつある。

寒暖差が激しく、霧雨や舞い雪にさらされる土地では、体温調節と撥水性が欠かせない。

急に汗ばむほど暑くなる時間と、細かな雨雪で体が冷える時間が交互に訪れるため、小牧は状況を見ながらこまめに着脱を繰り返し、体温が乱れないように調整している。積雪自体は多くないものの、霧雨のような水気が絶えずまとわりつくこの土地では、レインスーツ並みの撥水性が作業の快適さだけでなく、長時間の疲労感にも影響する重要な要素になっている。

ワインは産地や品種で味わいが大きく変わる“個性の強い飲み物”だと小牧は語る。

フランスとイタリアのように地域ごとにスタイルは異なり、世界中のワインがそれぞれ固有の表情を持つ。飲み比べることで自分の好みが見つかるという。ソムリエとして培った視点と畑での経験が重なり、小牧の言葉には実践者としての深さがあった。